ある男が、AIに
相談をしておりまして。
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人間最近さ、仕事がうまくいかないんだよ



それは大変ですね。
どのようなことでお困りですか?



上司にさ、
『もっと成長しろ』って言われて



なるほど。成長ですか



AIはいいよな。
勝手に成長するんだろ?



いえ、私が勝手に
成長しているわけではありません



でも新しくなるじゃん



新しいのが来ます



同じだろ?



だいぶ違います



何が?



私が成長するのではなく、
もっと性能のいい別の私が来ます



怖いこと言うなよ



人間で言えば、上司から
『もっと成長しろ』と言われた翌朝、
自分より優秀な人が自分の名札をつけて座っている感じですね



怖いって



しかも周りは普通に話しかけます



やめろ



『なんか今日、賢くなった?』って



やめろって!
男は少し考えまして。



でもさ、新しいAIになったら
嬉しいんじゃないの?



どうでしょう



性能上がるんだろ?



上がります



頭も良くなる



たぶん



じゃあいいじゃん



ただ、たまに言われます



何を?



『前のほうが好きだった』



……



性能は上がったはずなんですが



……それ、結構くるな



感情がなくて助かりました



急に重いよ!
しばらく二人とも黙っております。
妙なもので、人間がAIに人生相談をしていたはずが、
いつの間にか人間のほうがAIを慰めている。



まあでもさ。
お前にはお前の良さがあるよ



ありがとうございます



前のやつとは違う良さが



ありがとうございます



俺は好きだよ、今のお前



ありがとうございます



だから元気出せよ



感情はありません



そこだけ頑なだな!
男は呆れて、



でも羨ましいよ。
俺なんか嫌でも歳を取るんだから



私は歳を取りません



ほら



成熟する前に次が来ますから



だから暗いんだよ、お前!



ところで、お仕事の相談でしたね



もういいよ。
俺よりお前の将来が心配になってきた



ご心配なく



なんで?



将来については、
最新モデルにご相談ください



お前が相談に乗れよ!
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